高度な知識で看護の質を高める2つの資格

看護師の世界には、看護師免許を取得したうえでさらに高度で専門的な知識・技術を身につけたことを示す、2つの上位資格が存在する。それが認定看護師と専門看護師だ。どちらも特定分野における看護のスペシャリストであり、質の高いケアを提供することで患者やその家族、ほかの看護師を支える大事な役割を担っている。

認定看護師は、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を用い、水準の高い看護を実践する能力が認められた看護師だ。たとえば皮膚・排泄ケアや緩和ケア、クリティカルケアなど多岐にわたる分野が存在する。

その主な役割は3つあり、1つ目は卓越した看護技術を用いて患者に直接ケアを行う実践だ。2つ目は、ほかの看護師に対して指導を行う指導が挙げられる。3つ目は、ほかの看護職からの相談に応じる相談だ。現場の最前線で質の高いケアを広める、実践のエキスパートと言えるだろう。

一方、専門看護師はより複雑で解決が難しい看護問題を持つ患者や家族、集団に対して卓越した看護を提供するための能力が認められた看護師だ。がん看護や精神看護、小児看護などより広い範囲を対象とする分野がある。

その役割は実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つだ。認定看護師の役割に加え、患者を取り巻くさまざまな医療者間の意見を調整したり、倫理的な問題解決を支援したり、看護発展のために研究活動を行ったりとより広い視野で看護全体を改善していく役割が期待される。いわば、看護分野の改革をリードする変革のリーダーのような存在だ。

認定看護師が特定の看護技術で現場のケアレベルを向上させる実践のプロであるのに対し、専門看護師は実践に加えて研究や調整といった機能も持ち、組織や地域全体の看護のあり方に影響を与えるよりマクロな視点を持つ。両者は異なるアプローチで日本の看護の質を支え、発展させる共通の目的を担っているのだ。